【CPU(中央演算処理装置)とは?】
今回は、CPU(中央演算処理装置)について説明します。
CPUという言葉は聞いたことがあるけど、いったい何者?と思っているかたや、そもそもCPUという言葉自体初めて聞いた、という方にもできるだけ判り易く説明するように頑張ります。
なかなか馴染みがないことを理解すには、たとえ話が有効なことが多いです。
そこで、今回はCPUを「オーケストラの指揮者」に例えて説明してみます。

オーケストラの指揮者をイメージしながら、コンピュータ内部でデータが処理される仕組みについて学んでいきましょう。
オーケストラの指揮者は、オーケストラ、つまり”楽器を演奏する音楽家たち”を指揮し、演奏を調整することで音楽を作り出します。
同様に、CPUはコンピュータの中でデータを処理し、コンピュータが正確かつ効率的に動作するように調整する役割を担っています。

CPU(Central Processing Unit)は、コンピュータに組み込まれている部品です。
日本語では、「中央演算処理装置」と言われています。CPU(中央演算処理装置)は、コンピュータの頭脳として機能しています。
頭脳として機能しますが、とても小型化されています。
一般的なノートパソコンのCPUの大きさは1㎠から3.5㎠、スマホに至っては1㎠未満の大きさでとても小さい物ですが、その中に数十億個ものトランジスタが組み込まれています。コンピュータが行う計算や処理の中心となる部分です。
【ALUとは?- コンピューターにおける算術論理演算装置】
CPUの中で非常に重要な部品に、ALU(Arithmetic Logic Unit)と呼ばれるものがあります。Arithmetic Logic Unitは、日本語では「算術論理演算装置」という意味になります。
ALUをオーケストラに例えてみます。
ALUは指揮者が演奏家たちに合図を送り、楽曲のリズムや音程を制御する指揮棒のようなものです。指揮者は演奏家たちが演奏する曲を作成するわけではありませんが、演奏家たちに指示を送り、音楽を作り上げるのに必要なタイミングやリズムを制御します。
同様に、ALUはプログラムを作成するわけではありませんが、プログラムに基づいてデータを操作し、必要な計算を実行することで、CPUが正確に処理を実行できるようにします。
CPUはコンピュータにおいて中心的な部品であり、コンピュータが正確かつ効率的に動作するために必要不可欠な役割を担っています。その中でも、ALUは数学的な計算や論理演算を行うために設計された部品で、コンピュータが行うすべての計算や処理の中心となります。指揮者のように、ALUはプログラムに基づいてデータを処理し、必要な計算を実行することで、CPUが正確に処理を実行できるようにします。

論理演算という聞きなれない言葉が出てきました。
論理演算とは、コンピュータで使われる特殊な計算方法の一つで、真偽(はい・いいえ)に対する処理を行うことを指します。例えば、2つの真偽値を受け取り、論理積(AND)(「A かつ B」のこと)や論理和(OR)(「A または B」のこと)などの演算を行って、新しい真偽値を返すことができます。これらの演算は、プログラミング言語やデジタル回路の設計などで広く使われています。簡単に言うと、論理演算はコンピュータが「Yes」と「No」を処理する方法です。
論理演算をじゃんけんを例にとって考えてみましょう。

二人でじゃんけんをする時に、「グー、チョキ、パー」の中から一つ選びます。この時、相手が「チョキ」を足した場合に、自分が「グー」を出したら勝ち、「チョキ」を出したらあいこ、「パー」を出したら負け、というルールがあるとします。
これを論理演算で表現すると、「相手がチョキであり、自分がグーである場合に勝ち、相手がチョキであり、自分もチョキである場合にあいこ、相手がチョキであり、自分がパーである場合に負け」というように書くことができます。
このように、論理演算は、条件に合わせて結果を決めるためのものであり、プログラミングやコンピューターゲームなど、色々な場面で使われています。
【CPUの命令セットとALUの関係について】
さて、CPUには、あらかじめ組み込まれた命令のリストがあります。この命令リストは、CPUの設計に基づいて作られたもので、CPUができる操作(たとえば、足し算や引き算など)のリストです。CPUは、この命令リストに従って、一つずつ命令を実行していきます。
オーケストラの指揮者は、楽譜に書かれた指示をもとに演奏家たちに合図を送り、演奏のタイミングや音程を制御します。同様に、CPUの命令セットは、コンピュータが実行するプログラムに書かれた命令をもとにALUに指示を送り、必要な算術演算や論理演算を実行するように指示します。
例えば、プログラムに「2つの数値を足す」という命令が書かれていた場合、CPUはこの命令を解読し、ALUに「2つの数値を足す」という指示を送ります。ALUは、この指示に基づいて、足し算を実行し、その結果をCPUに返します。CPUは次に実行する命令を解読し、必要な場合は再度ALUに指示を送ります。
つまり、CPUの命令セットは、オーケストラの指揮者が楽譜に書かれた指示を解読する役割に相当し、ALUは演奏家たちが楽譜に基づいて演奏する役割に相当します。CPUがプログラムを実行する際には、命令セットとALUが密接に連携して動作し、コンピュータが正確かつ効率的に処理を実行することができます。
【CPUの動作を制御するクロックとは?】
CPUは、膨大な数の命令やデータを処理することができますが、その処理を正確かつ同期的に行うためには、内部でのタイミングを制御することが必要です。そのため、CPUには「クロック」と呼ばれる、一定の周期で発生する電気信号が存在します。このクロック信号は、CPU内のすべての部品や回路が同じタイミングで動作するように調整するために使用されます。
オーケストラの指揮者の場合、楽譜に基づいて演奏家たちを指揮することで、全員が同じリズムで演奏することができます。同様に、CPU内の回路や部品は、クロック信号のリズムに合わせて動作することで、全ての処理が同期して行われるようになります。つまり、クロックはCPU内での動作のタイミングを制御し、CPUが正確に処理を行うために欠かせない重要な要素となっているのです。
例えば、CPUが1秒あたりに1億回の命令を処理できる場合、クロックの周波数は1GHzとなります。この場合、クロックは1秒あたり1億回のパルスを発信することになります。
オーケストラの指揮者が楽曲のリズムを制御し、演奏家たちを指揮するように、CPUのクロックはCPU内の各部品を正確なタイミングで制御し、命令の実行やデータの処理を正確かつ効率的に行うために必要な役割を担っています。
クロックは、CPU内部での処理のタイミングを決めるための定期的なパルス信号のことです。パルスとは、脈拍を意味する「プルス」と同じ意味です。短い時間だけ電気が流れて止まる、または止まった後に電気が流れる、という繰り返しの信号です。例えば、電気スイッチを押すと、短い時間だけ電気が流れ、またスイッチが戻ると、電気が止まるというように、パルス信号は、電気のオン・オフが繰り返される信号です。クロックの周期が短いほど、CPUはより高速に処理を行うことができます。例えば、1秒間に1億回のクロックを生成するCPUは、1秒間に1億回の命令を処理することができます。クロックの周期が短いほど、CPUはより高速に処理を行うことができます。

クロックの速度は、CPUの性能に直結するため、高速なクロックを持つCPUほど高速な処理が可能です。ただし、高速なクロックを生成するためには、CPUの消費電力が増加し、発熱量も増加するため、適切な冷却や電力供給が必要になります。
また、クロック周波数はCPUの性能だけでなく、システムバス(コンピュータ内部で情報がやり取りされるための「道路」のようなもの)やメモリの速度にも影響を与えるため、全体的なシステムの性能にも影響を与えることがあります。
【CPU内部の他の重要な部品】
- 制御ユニット コンピューターの動作を制御する部分です。つまり、何をするか、どの順序で処理を行うかを決定する部分です。例えば、プログラムを実行する際には、制御ユニットがプログラムの命令を解釈し、CPU内部で必要な回路を動かして、プログラムの処理を実行します。
- レジスタ CPU内部にある小さなメモリのようなものです。データを一時的に格納し、演算処理をするための場所として使われます。例えば、プログラムで計算をする場合、レジスタに計算に必要なデータを一時的に保存し、計算処理を行います。
- キャッシュメモリ CPU内部にある高速なメモリのようなもので、主記憶装置よりも高速にアクセスできます。キャッシュメモリには、最近使用されたデータが保存され、CPUがよく使うデータに対して高速にアクセスできるようになっています。例えば、Webページを開く際には、ブラウザがよく使う画像やスクリプトファイルなどがキャッシュメモリに保存され、Webページの表示速度が速くなることがあります。 電源を入れると、webの表示が遅かったり、ExcelやWordを立ち上げようとした時、電源を入れた直後には表示されるまでに時間がかかったりすることを経験しますよね。これは、キャッシュメモリは電源が切れれば中の情報も消えてしまうので、一から必要な情報を集めなければならないので時間がかかってしまうのです。なるほどね・・・
- CPU内部の制御ユニット、レジスタ、キャッシュメモリは、協力してコンピューターの処理を実行します。制御ユニットがプログラムの命令を解釈し、レジスタに必要なデータを保存し、キャッシュメモリから必要なデータを取得して演算処理を行います。そして、処理結果をレジスタに保存し、必要に応じてメインメモリに保存することで、コンピューターの処理が実行されます。このように、CPU内部の各部品が協力して処理を実行することで、コンピューターは様々な処理を高速かつ正確に実行することができます。