記憶装置(メモリ)について


前回は、CPUについて説明しました。

オーケストラの指揮者は、オーケストラの”楽器を演奏する音楽家たち”を指揮し、演奏を調整することで音楽を作り出すように、CPUはコンピュータの中でデータを処理し、コンピュータが正確かつ効率的に動作するように調整する役割を担っている、大切な装置です。

では、指揮者と演奏する音楽家がいたとしても、楽譜がなければ音楽を奏でることはできません。

指揮者にとって、楽譜は無くてはならない物なのです。
同じようにCPUにとっても、なくてはならない楽譜のようなものがあります。

それは、メモリ(記憶装置)と呼ばれるものです。

楽譜は、演奏する曲の音符やリズム、テンポなどの情報を記録するために使用されます。
同様に、メモリは、コンピューターで実行するプログラムやアプリケーション、データなどの情報を保存するために使用されます。

要するに、楽譜が曲を演奏するための情報を保存するために使用されるのと同様に、メモリは、プログラムやアプリケーション、データなどの情報を保存するために使用されます。

CPUの楽譜であるメモリについて説明していきます。
ここから、少したとえ話を変えてみます。

学校の教室でお勉強する様子をメモリに例えてみましょう。

私たちは、学校で勉強する時に「黒板」や「教科書」、「ノート」や「本棚」を使っていました。

先生は、黒板を使ってものごとを教えてくれます。授業中に使用する情報や生徒が演習や問題解決で使用する情報が書かれます。
黒板はこのように書いては消して、消しては書いてが出来るので便利ですね。

コンピュータの中にも、黒板のように一時的に書いて、不要になったら消して、という働きを持つ記憶装置があります。
コンピュータが実行中のプログラムや作業中のデータが保存される、黒板のような記憶装置です。

そのことを、RAM(Random Access Memory「ランダムアクセスメモリ」)と言います。
CPUからのアクセスが非常に高速であるために、プログラムやデータの書き込みがスムーズに行われます。

ただ、電源を切ってしまったら、残っている情報も全て消えてしまいます。授業が終わったら日直さんが、黒板をきれいに消してしまうように。

でも、コンピュータの中にある記憶装置が、電源を切ったと同時に全部なくなってしまったとしたら、コンピュータを起動するための情報もなくなってしまいい、二度と作動しなくなります。それは困ります。

ですのでコンピュータには、起動するために必要な基本的な情報が保存されている記憶装置もあります。

例えるならば、教科書のようなものです。基本的な知識や情報が記録されていて、授業が終わっても教科書にかかれている内容は消えてしまいません。これを、ROM(Read Only Memory「リード オンリー メモリ」)といって、書き込み不可・読み出しのみ可能なメモリです。

教科書も、読むことはできますが、それに勝手に情報を書き込むことはできませんね(ラクガキが出来る!なんて突っ込みが聞こえてきそうですが)。同じような働きをしているのです。

このROMは、電源を切っても情報が消えてしまうことはありません。ですから、安心してコンピュータを起動できるのです。

さて、私たちは、黒板や教科書だけを使って勉強しているわけではありません。教科書には載っていない情報を集めたり、学んでいることをノートに書きこんだりしています。

では、集めた資料やノートはどこに保存するでしょうか?そのへんにほっぽらかしていては、必要な時に必要な情報を見つけることが出来ません。ですので、本棚や書庫を使って、整理しながら保存しています。

コンピュータにもこのような書庫のような記憶装置があります。ハードディスクドライブ(HDD)が有名です。最近ではソリッドステートドライブ(SSD)を使っているパソコンも多くなってきています。

その他には、SDカードやUSBなどデータを携帯するための外付けの記憶装置もあり、さらには、クラウドと言ってインターネットを使って記憶装置を利用する方法もあります。

このような記憶装置を「ストレージ」と言います。ストレージは元々は「保管」「倉庫」「貯蔵」という意味があり、まさにデータを保存・保管しておく記憶装置なのです。

このストレージは、RAMやROMに対して補助的な役割と考えられていますので、「補助記憶装置」と言われます。
RAMやROMは「主記憶装置」と呼ばれます。

主記憶装置

補助記憶装置